
これまでも何度も紹介している大好きChassol(シャソール)の、2026年5月22日リリースのアルバム「FUNNY HOW?」からの先行配信となる、3月18日より配信開始されたイギリス出身のシンガーALA.NI(アラ・ニ)をフィーチャーした「What Is Stand-Up? feat. ALA.NI」をご紹介。
アメリカのスタンダップコメディを「ウルトラスコア」する
シャソールと言えば、人の話し声や環境音をサンプリングしてそこにコードやリズムを重ねて音楽に仕立てる独自の手法「ウルトラスコア」。
これまでもアルバム「Ludi」では子どもの手遊びやジェットコースターの音を素材にしていたし、バスキアの言葉を音にしたこともあった。
今回のアルバム「FUNNY HOW?」では、その素材がアメリカのスタンダップコメディアンたちの話芸。
シカゴやニューヨーク、ロサンゼルスに赴いてコメディアンたちをステージ上だけでなく舞台裏や日常の中まで撮影し、彼らの声やフレージング、間の取り方といったものを音楽の素材として使っている。
コメディアンの話芸を「偉大な楽器奏者に近いヴィルトゥオーゾ」として捉えるというのが、いかにもシャソールらしい着眼点。
これまでと違う「歌モノ」としてのシャソール
で、この「What Is Stand-Up?」なのだけれど、これまでのシャソールの楽曲を聴いてきた身からするとちょっと驚いた。
これまでのウルトラスコア作品、例えば「Ludi」の各曲や「Les anneaux de Saturne」などでは、話し声そのものが主役であって、それが歌っているのではなく話している声に音階とコーラスを付けてメロディとして声を扱っているのがシャソールの面白さだった。
ところが今作では、イギリス出身でパリを拠点に活動するシンガーのALA.NI(アラ・ニ)がフィーチャーされていて、彼女のヴォーカルがしっかりと歌として際立っている。
人の会話にコードを重ねるウルトラスコアな手法はそのままに、そこにALA.NIの歌がメロディとして乗っかることで、これまでよりもグッと「歌モノ」な印象を受ける。
ChassolとALA.NIの関係
このフィーチャリング、実は一度きりの客演ではなくて、二人は長年の音楽仲間。2020年のロックダウン中にはソンドハイムのカバーを一緒に録音しているし、2023年の「I'm Not A Real Person」や2024年のフィルハーモニーでのライブ「Chassol Plays Basquiat」にもALA.NIはヴォーカルで参加している。
ALA.NI自身はジュディ・ガーランドやビリー・ホリデイを彷彿とさせるような時代を超えた歌声を持つシンガーで、2025年にはカリブ音楽を取り入れたアルバム「Sunshine Music」をリリースしている。
スパースで親密なアレンジの中で映える声質なので、シャソールのウルトラスコアが作り出す緻密だけど隙間のあるサウンドスケープとの相性が抜群に良い。
アルバム「FUNNY HOW?」は映画+アルバム+ライブの三位一体
なお、今回のアルバム「FUNNY HOW?」は単なるアルバムではなく、映画、アルバム、ライブパフォーマンスの3つの形態で展開されるプロジェクト。
2026年4月17日・18日にはパリのフィルハーモニーで公演が予定されている。
マネジメント側も今作をシャソールのキャリアにおけるターニングポイントとなる「より多くの人に開かれた作品」と位置づけているようで、この先行配信を聴くとそれも納得。
ウルトラスコアの実験性はそのままに、ALA.NIの歌という入り口があることで初めて聴く人にもすんなり入ってこれる仕上がりになっていると思う。
何度聴いても飽きなくて中毒性が高いのはいつものシャソールだけれど、今作はさらにリピートしたくなる感じ。5月のアルバムが楽しみで仕方ない。
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